問 題点になると思われる事は、株式会社、農業参入についてです。特に大手企業による農業参入で農産物の流通が変わります。大手企業は、株式市場より直接投資 を得る事が出来ます。直接得た資本を使い環境の良い農地に大規模な施設化をすると共に労働環境の充実を図ることが出来ます。
この様にして出来る農産物は、原価計算され直接資本系列及び業務提携先である食品加工業やスーパー、外食店等、量販 店に販売する事が可能であります。しかし、この様な販売先は、品切れさせることが出来ないため注文数より過剰に生産されます。過剰に生産されたものは青果 市場に出荷されます。採算の合う生産計画により作られた農産物。余り物は青果市場にて販売。この様な仕組みでは、一生懸命に生産した農家の農産品と余り物 が同じ土俵で勝負しているような物で農家に全く勝ち目がありません。そればかりでなく大手企業の輸入品も直接量販店等に販売され青果市場の青果物単価も取 れなくなり青果市場も成り立たなくなるでしょう。いくら担い手を育成して大型農業にしたとしてもいずれ販売先が無くなり大型農業のために固定費が増大し投 資した借入金だけが残り苦しむようになるのではないでしょうか。さらに、大手企業同士の販売合戦が始まりいずれ傷つき撤退していくでしょう。そして、残る 物は、荒れた山河に成ってしまうのではないかと心配するものであります。
過去に私が経験しました貝割れ大根業界の事です。貝割れ大根が小分けして小売できるようになり生産販売が拡大して行 き全国で販売するようになった時の事です、大手企業イトマン、積水、川崎製鉄等が量産体制で参入してきました。資金、種、施設、販売ルートをもち戦いをし ていました。しかし、やがてうまみが無くなると撤退していきました。
最近の一例を見ますと、株式会社カゴメでは、トマト生産販売額100億円と農業新聞に発表されていました。この事 は、トマト生産農家が100億円の市場を失う事であり、単価が下がりトマト生産を止めてしまうか、有る施設を利用して新しい農産品を作るかだと思います。 しかし、新しい農産品を作るとまたその分野に過剰品を作ることになり連鎖していく事になります。今後、色々な農産物でこの様な事が起きてきます。そして、 農業を廃業していく人がさらに増えていく事と思われます。またいずれ大手企業も撤退していく事でしょう。
農家が廃業すると・・・
一農家が廃業すると、食料自給率が下がるだけでなく何ヘクタールの土地管理が出来なくなります。都会の一軒家が廃 業するのと違い、一万個の農家が廃業すれば、何万ヘクタールの土地管理が出来なくなるのです。いずれ荒れた土地を税金で管理しなければ成らないようになる のではないかと思われます。これは、直ぐには見えませんが将来に残す隠れ負債であると思います。地方地域住民や農家は先祖代々の土地や地域をみなで力を合 わせ大切に守ってきました。大手企業の人に土地や地域に愛着を持ち無償で土地管理する事が出来るでしょうか。やはり、日本全体にバランスよく農林業は永久 に存続するようにしていかなければ成らないと思います。
農家が存続できるようにするには
第一に、農業後継者の育成をする。そして、継続的農業を実現するためには、基本的には一農家を家族三代それぞれが 自立して農業経営できるシステムにする必要があります。例えば、60歳の祖父は稲作、40歳の父は酪農、20歳の子供は、施設園芸と言うように各人がそれ ぞれの経営面で自立出来るようにする事です。そして、このシステムが代々に渡りサイクルするようにするのです。このように考えますと疑問として残る事があ ります。今進めている農業担い手を単に面積だけで決めて良いものかと言う事です。
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