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毎日新聞社「ふるさとの主張コンクール」応募作品紹介

■ふるさとを創る

ふ るさととは、海辺があり、野山があり、小川があり、実りの有る田畑があり、人々の住む集落や小さな町並みが有る。そして、そこには、お年寄りから働く大 人、青年、元気に遊ぶ子供達の姿や声がいつも有る。都会に出た人々は、実家からの実りの贈り物に喜び、お正月やお盆には帰省する。単純な言葉で表せばこの 様なイメージになります。

先人達のご苦労により、それぞれの地域で、様々な行事や食を作り、しきたりを作り、農耕民族として地域社会に合った伝統ある日本文化を作り上げてきた結果であります。しかし、この様な伝統ある日本文化も日本人が経済的狩猟民俗化していく流れの中に失われつつあります。


経済的狩猟民俗とは、サラリーマンと考えています。経 済と言う自然の恵みを感じない猟場でお金を得て生活をします。一つの会社に入り社内教育を受け、身体一つでパソコンや、かばん、手帳等を武器に会社で働き 所得を得ます。また有利な事は、伝票一枚で何億と儲ける事も可能であり、会社と言う猟場も自由に自分で選んで生活できるのです。
農業をする農耕民族と違い、獲物も多くあり、地区の人々との付き合いも浅く、広い土地を管理する事も無く、自由で案外気楽な生活だと思います。

しかし、問題点も有ります。
自 然の恵みを得る狩猟民族であれば、自分達の子供に、猟のしかたや環境の守り方も教える事が出来ます。経済的狩猟民族は、父、母の会社での所得により生活を するので、子供達に仕事などの仕方を教える事がありません。お金が有るので、場合によっては子供達がニートになる可能性がいっぱい潜んでいます。仕事が上 手くいかず能力の発揮が出来ない等の理由があれば身体一つで転職をします。これらの事は、与えられた猟場で技術を学び、手に武器を持ち、頭を使い猟をして 生活をしている狩猟民族と同じです。
そして上手く猟の出来ない時は、猟場を簡単に変える事も出来ます。しかし、いつの日か猟場に行けなくなった時や、猟場が荒れ果て獲物がいなくなってしまった時は大変な事になります。この事は、狩猟民族の定めでもあります。


日本は、今この様な人々が非常に多くなり、全てに於いて、経済狩猟民族的な計画や行動になり完全な狩猟民族社会になろうとしています。はたしてこの様な社会情勢の中でふるさとは守られ存続できるのでしょうか。日本農耕民族の先人により四季のある特長を活用して作り上げられてきた様々な日本文化、その中にこそ今言われているふるさとがあると思います。


私達はその様なふるさとを守り発展させていく為に今こそ挑戦すべきです。環境や地域や未来を考え、人々のバランスのとれた生活環境のある日本国を作り、心温かく触れ合いの有るふるさとを創るべきです。

農民は、経済的生産性が低く、移動する事のできない、限られた土地で田畑を耕し、広い土地を管理し、地域貢献をしながら協力し合い、日々変わり行く生産環境おも克服して、自然の恵みである実りを得て生活をしています。

一 般的に、現在の経済社会を考えると、農耕民族より経済的狩猟民族のほうが生活しやすいように思えます。体一つで稼げ、広い田畑の管理をする必要もなく、休 日も自由に取れ、自由に旅行にも行け、地域活動に縛られる事も無く、仕事も自由に選択できるのです。農耕民族の若者から見ると、自分の継承する土地資産さ え重荷に感ずるほど経済的狩猟民族にあこがれる人がいます。気持ちは良くわかるような気がします。
経済社会に於いて、人々は会社が発展して所得が上がる事を望みます。そして、所得が上がり豊かになると美味しい物を食べ、良い服を着て良い車や良い家を持つようになって行きます。この事は、経済社会が発展して行く素晴らしい事だと思います。


日本国も、経済発展を続け貿易黒字を積み重ね、一見、豊かで素晴らしい国ように思えます。しかし、反対に大切な食料の事がおろそかにされふるさとがかすんで行く様に思われます。
日本人の大半を占めてきました経済狩猟民族は、豊かさの象徴である立派なビルやビル街を見ると豊かさを感じるでしょう。そして、箱物をお追い求めて行くと思います。

農耕民族は、ビル街を見ても決して豊かな気持ちにはなれません。
しかし、食べ物がいっぱい実っているところを見ると感激して豊かな気持ちになります。
農耕民族は、金が無くても地域やふるさとを、必死に守ろうとします。しかし、経済狩猟民族は、お金を沢山あつめて、ふるさとどころか、この国を出て行く人もいます。

その様な事で良いのでしょうか。

仮 にある人は、お金を稼ぎ、お金や宝石等を沢山持ち資金に不自由しない人と、お金は少ないが食べ物が自由に作れて食べ物に不自由しない人が、仲悪く隣の部屋 に住んでいたとします。そして、ある日突然の事故により2,3ヶ月食べ物が流通しなくなったとしたらどうでしょう。食べ物が、全く手に入らなくなった人に とって、お金や宝石に価値があるのでしょうか。資金の有る内に食料が自由に手には入るようにし、自活できるようにしておくべきです。

そ こで、豊な国はと考えると、個人が、良い車や良い家を持つ事と同様に、国は、国民と共に、四季の有るこの素晴らしい大地の活用を図り、自然の恵みを受け、 実りを得て国民に食料を供給し続け、人々も育てる。そんな環境のふるさとを作り上げて、持ち続けられる様にする事が大切です。そんな国になれば世界に誇れ る国であると思います。


私は、日本国がこの様な経済狩猟民族時代になったので新しいふるさと作りを考えるべきではないかと思います。この広い地球上でも、食料の生産できる環境の良い場所は限られております。
日本も、経済的生産性の観点から見たら狭い耕地であり、生産性の悪い条件であります。しかし、緑豊で農耕民族としての歴史もあり、日本各地には素晴らしい食文化が有ります。

こうした素晴らしい食文化を育て、I・ T時代のネットを活用して世界市場に紹介しながら消費地を広げ、素材である農産物を生産し、各地域で世界に向けた加工品を作り、世界市場に進出していくべ きであると思います。この様にして地方に仕事が増えれば働く喜びも増えニートも無くなり、地域が発展して行き豊かなふるさとが誕生すると思います。


農 家の持続可能な方法として考えると、まず、早急にしなければいけないことは、第一に農業後継者の育成をする事。そして、継続的農業を実現するためには、一 例で示しますと、基本的には1農家を家族三代それぞれが自立して農業経営できるシステムにする必要があります。例えば、60歳の祖父は稲作、40歳の父は 酪農、20歳の子供は、施設園芸と言うように各人がそれぞれの経営面で自立出来るようにする事です。そして、このシステムが代々に渡りサイクルするようにする事です。そ うする事で農家が代々に渡り継承されていく様になるでしょう。できる副産物も家族の話し合いで有益な資源にも変わります。稲ワラは畜産の粗飼料に、牛糞は 施設演芸の堆肥や稲作の堆肥に、施設園芸のはね品や屑は家畜の餌になります。また、経営面で独立している事は、経営の向上や問題点になっている、農家のお 嫁さん探しにも有効であり、仕事に張り合いがでます。


私のふるさと作りに関わる海外展開についての発想。

アメリカ合衆国で、芽ねぎの栽培方法特許を取得してニューヨーク発明展に出展した時の事です。無農薬栽培の芽ねぎに対する諸外国人の関心度の高さを知り農業分野での海外展開に関心を持ちました。
知的財産立国を目指す今日の日本国。新しい分野にも目を向け、農業分野における知的財産権、特に農産品、栽培方法、農産加工食品の活用を図り海外展開する事は、21世紀の日本発展には欠かせないものだと思います。
そ して成功させる具体案は、世界的に知名度があり世界的に食されているものを矢先として取り上げチャレンジしていくべきことだと思います。食べ物や飲み物 は、人類万国共通の物であり、どこの国でも受け入れやすく日々の需要があり半永久的な事業に発展します。特に体に良い物は、数千年に渡り食されています。 今は、まさに健康重視の時代であり、さらに、日々世界中で食され消費が拡大され続けている物であります。私は、この発想のもとに、にんにく茎葉野菜の加工 品と海苔茶飲料の考案を致しました。出来るものであるならば、この開発品を普及する事で第一次産品の生産を上げふるさと作りに貢献したいと夢を見ていま す。

国内及び世界に目を向けて農業に取り組む事で新しい発想の農業が誕生するのではないでしょうか。人の原点は、自分で食べ物を作り生きるか自然の恵みを得て生きます。そして、その上に色々な事を学び、精神的にも物質的にも豊かさを求め社会を形成して生活をしています。

自 分の夢を模索中の若者に、現在の様に情報の多い中、まずは原点の農業に身をおき働く事を提案します。農業には、働きながら考える時間がたっぷりあります。 体を動かしながら働き、考え、どんな分野のどんな仕事でも良いから自分の好きな進むべき道を見つけ出すべきです。そして、進路が見つかった時には学ぶ強い 意志を持つべきです。学びたい時に学ぶ事が一番身に付く価値有る学びであります。学ぶ時期に速い遅いはけして無いと思います。ましてや、自分で稼いだお金 で学ぶ事が出来れば更に身につくものだと思います。

このような形で若者が、農耕民族として世界に目を向け考え、農業にかかわり、自己と向 き合い、自給率の向上をはかり、農業を発展させて行き農業を基礎、基盤に人々が育ち各分野で活躍される様になる事を、そして、この様な夢のあるふるさとが できることを願い、信じて挑戦して行きたいと思います。

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